
注目の俳優・山本千尋 三谷幸喜からの“ラブレター”だった『鎌倉殿の13人』トウ役~今後はアクション大作で世界へ
2022.12.16 07:00三谷幸喜脚本・小栗旬主演で鎌倉幕府二代執権・北条義時を中心に描く現在放送中のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』。主人公・義時を陰で支える刺客・トウ役で大河ドラマ初出演を果たした俳優・山本千尋(26)が注目されている。
12月22日から全世界独占配信されるNetflixオリジナルドラマ『今際の国のアリス』シーズン2にも出演し、活動の幅を広げる。いま話題の山本にentax取材班が独自にインタビューし、ドラマの撮影秘話から過去に武術大会で世界一に輝いたこと、今年の総決算と来年の抱負などを語ってもらった。
■山本千尋×entax独自インタビュー
――大河ドラマ『鎌倉殿の13人』でトウ役を演じている感想や、最終回へ向けて注目してほしいところは?
トウという役は、まさに三谷幸喜さんからのラブレターであり、私にとってはお守りのようです。
また、鬱憤と恩愛の狭間で生き続け、なんて辛い人生なんだと思っていましたが、正直、善児亡き後の方が辛かったです。復讐を果たしたはずなのに。ネタバレになるので、あまり深くは言えませんが、トウの結末こそ、この役を私に託してくださった三谷さんからのギフトだと思っております。オリジナルでここまで描いてくださるなんて、トウは私にとっての財産です。

――トウの“剣さばき”が圧巻でスゴすぎると反響が大きかったですが、率直にいかがですか?
反響を頂けることは人前に出る職業としてこの上なく有難いことです。良い事も悪い事も評価される事が自身の仕事の一つでもあると思っているので、今回は嬉しいことに良い反響が多く、自分のしてきた事や方向性は間違っていなかったんだとホッとしました。同時に今後の自覚も生まれ、観てくださる方が多くなる分、成長を届けなければいけないので皆様から更なる活力を頂いています。
――トウ役の演技について表情や動きなど、こだわっている点や苦労した点などがありましたら教えてください
所作の橘芳慧先生が「どれだけセリフがあるとか出番があるかは重要じゃない。あなたがどんなキャラクターで印象を残せるかが大事。」と仰ってくださり、その言葉がとても心に響きました。細かくはなりますが、歩き方や腕の振り方や足音にこだわり過ぎず、でも意識はしてという感じで取り組んでいました。
苦労した点で言うと、暗殺する側もメンタルが引きずられる事ですかね。特に頼家役の金子大地さん、せつ役の山谷花純さんは直接的な感情はなかったがゆえに辛くて。でもお二人の死に際が本当に美しくて、鮮明に残っていて、それがトウの抱えていく宿命として大事な表現の一つになっていたかと思います。

――世界ジュニア武術選手権大会で世界一の金メダルに2度輝き、JOCジュニアオリンピックカップで3年連続優勝して…
運良く優勝できただけで、実力はさほどないです。
今の武術選手の方がよっぽどレベルが高くて優秀だと思います。ただ有難いことにこの経歴がなければ今のお仕事にも繋がっていなかったので本当に感謝しています。経歴のおかげで「立ち回りができそうな子がいる」と映像作品のヒロインに声を掛けていただき、アクションの奥深さと楽しさを教えていただき、周りに恵まれているなとつくづく感じます。アクションの魅力の一つが言葉なくとも世界共通で魅せられる表現なので、自分の頑張り次第で武術同様成長が実感できるなと思っています。それが楽しさであり、抜け出せない理由だと思います。
――特技の中国武術や殺陣、ボクシングは、現在どのくらいのペースで練習を?
中国武術に関しては、お仕事ですることがあればそれに向けて調整するという感じです。
ボクシングは今は週1くらいですね。プロテストの前は週5とかでしていたので、上半身がムキムキになり過ぎちゃって(笑)今はエクササイズとして週1で楽しくしております。
そして、基本日々のトレーニングは、ランニングと筋トレとストレッチを生活のルーティンとして長年過ごしてきているので、そこが自身の管理として1番の軸となっていると思います。
――アクションが演技に応用できるメリットなどはありますか?
アクションが特技ということはなくて、どちらかというと私はアクションが下手だと思っています。演技もですが日々勉強中ですから、応用できるメリットとなると精神的な強さだとかグッと集中するスイッチの入り方とかですかね。

――Netflixドラマ『今際の国のアリス』シーズン2は世界配信ということで、意気込みは?
世界共通のアクションというジャンルで世界配信していただけることに胸を弾ませております。尊敬している最高峰のスタントウーマンの方や素晴らしいアクションチームの皆様とご一緒させて頂いたので、世界で見てもらえる日が待ち遠しいです。
「キングダム2 遙かなる大地へ」に続き佐藤信介監督、そして念願の下村勇ニアクション監督とご一緒させていただけたのもそれはもう刺激的な日々でした。シーズン2のオリジナルの“げぇむ”となっておりますが、原作ファンの方やシーズン1からご覧になられている方にも楽しんでいただけるのではないかと期待を膨らませております。
――2022年を振り返って
偉大な方々からの「無性の愛」を頂いた感謝してもしきれない1年でした。「この方がいなければ今ここに私はいないだろうな」とか「実現できなかっただろうな」とか本当にそれに尽きる感謝の年でしたね。
史実に基づく話や原作がある話でオリジナルキャラをこんなにできるとは予想もしていなかったので。得難い経験をさせていただけたなと思います。
――今年を「漢字1字」で表すと、どの漢字を選びますか? その字を選んだ理由も教えてください
初めての質問だったのでこれは悩みました。
でも「幸」ですかね。辛いに一本足せば「幸」になるように、一つ手を差し伸べて貰ったような役柄が今年は多かったので。
あとは世界が幸せになってほしいという願いですね。
――2023年の抱負や今後の夢などをお聞かせください
抱負だらけですよ!あまりにも多いのですが、コツコツと一つずつ回収していきたいですね。今年はやはり「鎌倉殿の13人」が色濃く尊い時間となりましたので、今は大河でご一緒させていただいた先輩方のようになりたいと思っております。
大きな夢ですが、先輩方に近付けるように2023年も精進して参ります。20代後半がスタートしましたし、しっかりと感性を研ぎ澄ませたいですね。あとは、乗馬をマスターしないとですね!(笑)
【Profile】
山本千尋 1996年8月29日生まれ、兵庫県出身。特技は中国武術、アクション、殺陣、ボクシング。世界ジュニア選手権大会2008年、2012年「槍術」部門金メダル(世界一)。JOCジュニアオリンピックカップ2010年、2011年、2012年「長拳」「剣術」「槍術」部門3年連続優勝。2015年ジャパンアクションアワード ベストアクション女優賞受賞「太秦ライムライト」受賞。所有資格は長拳普及指導員、プロボクサーライセンス。2022年、『鎌倉殿の13人』でNHK大河ドラマ初出演。映画『キングダム2 遥かなる大地へ』に出演し、12月22日から全世界独占配信されるNetflixオリジナルドラマ『今際の国のアリス』シーズン2にも出演決定。