三遊亭円楽さんの落語家魂 「お客様の喜ぶ顔を浮かべ…」直筆の絵に込められた思い

2022.12.8 15:00

今年9月に72歳で亡くなった落語家の三遊亭円楽さんのお別れ会が12月2日に東京都千代田区で行われ、親交のあったおよそ600人が訪れて花を手向けた。

受付には長い列ができ、円楽さんがいかに大勢の人に愛されていたかが分かるお別れ会であった。円楽さんの出演していた『笑点』メンバーも駆けつけた。今年新たにメンバー入りし、先日早くも座布団10枚を出した桂宮治、『笑点』司会の春風亭昇太、円楽さんとは40年の付き合いとなる三遊亭小遊三、そしてお別れ会の司会を務めた林家たい平に、壇上での挨拶の言葉とは別に円楽さんの思い出を聞いた。

桂宮治

桂宮治は円楽さんとの思い出について、「笑点メンバーになることが決まったときに円楽さんが“お前はうるせえからな”と仰っていて、少し会うのが怖かったが、改めて会ってみると“宮治は若いからそのままでいい、頑張って”と仰って頂いた。一度落とされた分、より嬉しいし、言い方が上手いなと。身が引き締まる思いがした。合わせるだけでなく、自分の個性を出せという的確なアドバイスを下さった方です」と語った。

春風亭昇太

春風亭昇太は「『笑点』の司会になることが決まったとき、メンバーは発表前に知っていたが、それでもずっと司会は俺だ、俺だと言い続けて番組を盛り上げて下さった。常に番組のことを思っていて、番組のためを思って行動する方でした」と話した。

三遊亭小遊三

『笑点』メンバーになってから40年近く親交を深めた三遊亭小遊三は「円楽さんはゴルフコンペをよく企画してくれて、呼んでもらって一緒にゴルフをやっていた。負けず嫌いな性格で、円楽さんの方が調子いいのに、ハンデをくれと言って、ハンデをつけてまで勝ちたがった。それをからかいながらゴルフをするのが面白かった」と円楽さんとの日々を思い出しながら語った。

参加者へのお返しの品

参加者へのお返しの品は円楽さんがいつも差し入れしていた東京・江東区にあるベーカリー『ナカヤ』のアンパンと、CMナレーションを務めていた『毎日香』のお線香、手ぬぐい。手ぬぐいは落語家が仲間や贔屓(ひいき)に配る定番の品。手ぬぐいの畳紙には円楽さん直筆の絵と“感謝”の文字が書かれていた。

円楽さん直筆の絵が描かれた手ぬぐい

生前、円楽さんは絵について後輩の林家たい平に度々アドバイスを求めていたそうだ。たい平は多摩美術大学を卒業し、浅草演芸ホールのプログラムの表紙や、所属する落語協会のカレンダー画を描いていて、絵もプロの腕前として知られている。畳紙の円楽さんの絵について、たい平は「最初は色紙に絵を描きたいと思っていたみたいで、円楽の円、マル“○”を描いていらっしゃいました。どう? なんて描いたものを見せて下さったり、顔彩を買ったのを見せて下さったり、僕の描くのを見ていて下さって、へぇ〜なんて感心して下さったり。そのうちマル“○”からお地蔵さんのような形に変化して行きました。楽屋で過ごす時間を、絵を描くことで楽しんでいるようでした。受け取ったお客様の喜ぶ顔を想像しながらだと思います。得度(とくど)してからか(円楽さんは2016年に得度した)、お地蔵様のようなお顔を熱心に描いていたのを思い出します。楽しそうでした。嬉しそうでした」

林家たい平(左)、春風亭昇太(中央)、桂宮治(右)

大勢の人に愛されて人に囲まれ、自身の落語だけでなく、様々な落語会を企画して名プロデューサーと呼ばれ、気遣いを欠かさなかった円楽さん。楽屋で一人無心に絵を描く楽しそうな姿を思いながら合掌したい。

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