錦織一清単独インタビュー「舞台は7割がお客さんの力で仕上げている」

2022.9.28 14:00

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9月に都内で開催された錦織一清のファンミーティング『第二回全日本常恋隊合同会議』。entax取材班は、ファンとの交流を終えたばかりの錦織一清に単独インタビューを実施。芸能生活45周年を迎え、改めて気がついたファンの温かさや独立後の変化、演出を手がける舞台のことなどを聞いた。

■ファンの前だとあったかみや親近感がある

――ファンミーティングを終えて、率直なご感想をお聞かせください。

錦織 全然違うな、と思うのが、お芝居の舞台が終わった後よりもう少し近しい雰囲気を感じたところです。最後、お客さんとお別れするときも、何かあったかみや親近感がある。やはりファンの方ですからね。近しい間柄の「じゃ、またね」でお別れするような感じの印象でしたね。

――芸能生活も45周年となり、ファンの皆さんとの関係も長いと思いますが、2021年に独立されてから何か変化はありましたか?

錦織 うーん、改めて確認させていただいちゃったのかな。1年ちょっと前に自分だけのファンクラブを発足して、こうしてファンミーティングを開いて……応募して外れてしまった方もいるんだけど、改めて(ファンの皆さんと会うと)こんなにまだ応援してくださる方がいるんだな、っていうのが率直な感想ですね。といっても、3か月前にやっとこういうファンミーティング(第一回)が開けたのですが、コロナの影響もあってだいぶ遅れてしまったんですね。

――今日も遠方からの参加者がいらっしゃいましたね。

錦織 そうですね、北海道や宮崎の方もいらっしゃってびっくりしました。

■SNSで発信できることに僕自身が感動している

――TwitterやYouTubeなどSNSでも発信していらっしゃることへの反響はありますか?

錦織 反響というより、僕自身が感動しています。SNSなどは、今まで(錦織さんが事務所にいた頃は)できない環境下にあったわけですよね。それができるようになったときに、本当に自分の言葉というのを伝えられる機会を与えてもらったんです。インタビュー記事などになってしまうと、僕も原稿チェックさせていただくのですが、ニュアンス的に、やはりライターの方のクセとかで、いかようにもできるというか。僕はもういい年なのに、まだ僕のことをティーンエイジャーと思っているような感じの口調なのかな、とかそういったところが気になっていた部分もあったんです。それがSNSを通じて自分の言葉や文面で伝えられるようになったときに、今さらながら画期的なことだと感じたんですね。僕はPCがさっぱり使えない人間だから、全然使いこなせてはいないんだけど。

――ファンミーティングで、LINEで長文の脚本原稿を送るってお話されていましたよね。

錦織 そう。友達とLINEするくらいの程度だから、最初はTwitterもドキドキしながら始めたんだけど、最近けっこうわかってきたので。いま、ネット社会のことを悪く言われることも多いじゃないですか。ちょっとマイナスのニュースが目立ってしまうんでしょうね。でもちゃんと使えば、いいこともあるなって。

――今日、客席にはリアルタイムの少年隊を知らないような年齢の方の姿もお見受けしました。「令和の少年隊沼」という言葉もあるほど、少年隊や錦織さんの魅力を、当時を知らない方が発見してファンになる、という方も増えているようです。

錦織 あ、そうなの? プライベートになると、僕らの同級生や友達の子どもも、もういい大人になっているから、若い人との関わりってそのくらいなんだよね。だから嬉しい反面、お父さんみたいな人を応援しても大丈夫なのかな? って、こっちが心配になっちゃうときもありますけど。

■舞台への意気込みはない。その時に起こる化学反応を楽しみたい。

――ファンミーティングにも共演者の方が登場されましたが、錦織さんが作・演出・出演と三役をこなす舞台『サラリーマンナイトフィーバー』の前半公演が終わり、10月28~30日には大阪松竹座でのフィナーレを控えていらっしゃいますね。

錦織 かなり変則的なんだよね。8月23日から9月4日でいったん公演が終わって次が10月末だから。僕らもちょっと不安なところはあるので、2~3日は稽古をしないとダメだなと思っていて、また集まり直してやります。間が空いているから、同じ公演の流れでやっているんじゃなくて、僕のイメージでは早めの再演や追加公演が来たな、というくらいの感じです。

――大阪公演へ向けて、どんな舞台にしたいか意気込みがあれば教えてください。

錦織 意気込んで「どんな舞台にしたい」っていうのは、あんまりふくらませないんだよね、僕は。その時に起こる化学反応を楽しみたいから。今度、大阪のお客さんであれば、今までとまたちょっと雰囲気が違うだろうし、その時にどう対応するかですよね。僕はやっぱりお芝居ってお客さんとつくるものだと思っているんですよね。役者同士でやっているようで、実はお客さんと向き合って、お客さんとお芝居した方がおもしろいんじゃないかと信じてやまないんで。大阪だと、吉本興業や松竹の新喜劇の舞台があったりするから、若干カジュアルな生活の中に舞台があるような感じがするんですよね。その分、厳しい目もあるだろうし、反応もしていただけるだろうし、楽しみにしています。

『サラリーマンナイトフィーバー』のゴールを、3日間大阪松竹座で決めさせていただけると思うと……、自分の書いた芝居があんな(大きな)劇場でかかるような芝居になるとは僕も思ってはみなかったので、まさかという感じ。小劇場で地道にやっていた芝居だったので、いきなり敷居が上がったという戸惑いはあったんですけれど、チャンスがいただけたのが嬉しいですね。

――その前、10月1日・2日には植草克秀さんとのディナーショー、【ふたりのSHOW&TIME 『Song for you』】を開催されますね。そちらのご準備もかなり進んでいるのでしょうか?

錦織 空き時間にかなり打ち合わせをしています。わりと懐かしいメンバーがスタッフでやってくれているので、昔の持ち歌なんかを歌うときには、ものすごく話が早いから、物事が合理的に進んでいるな、という感じがして助かります。

■リハーサルで30%の完成度。残りの70%はお客さんが埋めてくれる

――最後に、改めて錦織さんにとってのファンの存在とはどのようなものでしょうか?

錦織 例えば僕が芸能の仕事をしていなければ、所帯を持つとした場合、女房になる女性は僕を理解してくれて一緒に過ごすんだと思うのね。実際には僕は所帯を持っていないけど。そういう家族のような感覚で、僕の理解を深めようとしてくれている人が、赤の他人様でこんなにいっぱいいる! という感じなんだよね。それがこの年齢になってじんわり思っていることなんですよ。

――それは若い頃には気づけなかったことでしょうか?

錦織 そうですね。年を重ねてそう思い始めたということでしょうかね。昔は舞台に立ってたくさんのお客さんの前で(歌や芝居を)やるということにプレッシャーがかかっていたんだけど、今は変わってきていて。例えば公開ゲネでスタッフや関係者、メディアの方だけに見せなくちゃいけない、という場面の方がわりと構えてしまってものすごく緊張するんですよね。

今日のファンミーティングもそうでしたけど、舞台の上に立っていて、例えばミスやアクシデントがあったりしても、ファンの方に委ねてしまえば、そこには頼もしさがあるんですよ。僕が出てきた時にファンの方がいっぱいいてくれるんだと思うと、何か昔より舞台に出て安心させてもらえている感じ。パッと舞台に出て、「あ、いちばん支えてくれている人たちだ」と。安心していい人たちがそこにいてくれている。安心感が違うんですよ。若い頃はがむしゃらにやってきたから気がつかなかったけど、今はすごく安心感があるんですよね。

だから、舞台のゲネプロが終わって初日を迎える時、役者にも「さあ、今日が初日だよ。でも初日で緊張することないよ。メディアへのゲネプロとか、そういうのはもう終わったから、さあ、今日からは何をやったって許してくれる優しい人たちがいるよ」と、よく言うんだけど。今日からが本当のお客さんだからやりやすくなるじゃない、と。

――お客さんと舞台をつくり上げていくんですね。

錦織 そう。やりやすくしてくれるんですよね。こっちのセリフが飛んじゃっても靴が脱げるようなアクシデントがあったとしても、その時に笑ってくれたり何か反応があるから。そういう時に何も反応がない、というのがいちばん厳しいことなので、その反応がものすごくこちらを救ってくれることだし。さっきも言ったように、役者同士じゃなくてお客さんとお芝居しているんです。リハーサルで芝居が完成していても、これで30%くらいしか完成していないと思ってる。それで舞台に出て演じて、残りの70%くらいはお客さんが埋めてくれているんだよ。そうやってお客さんが仕上げてくれている。芝居っていうのは、お客さんがいなかったら仕上がらない。仕上がりがちょっと良くない。これはリップサービスでも何でもなくね。

【錦織一清Profile】
1965年生まれ。東京都出身。小学生でジャニーズ事務所に入所。アイドルグループ「少年隊」のリーダーとして人気を博し、テレビドラマや舞台を中心に俳優としても活躍。1999年に出演したつかこうへい演出「蒲田行進曲」をきっかけに、舞台演出にも積極的に関わるようになる。2020年12月31日に、43年間在籍したジャニーズ事務所から独立。2021年からはTwitterや、同時期に独立した植草克秀と配信するYouTubeなど、SNSでも積極的に発信している。

文&取材:entax編集部

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