HY 単独インタビュー後編 沖縄愛、家族愛の詰まったニューアルバムは「今までと違う雰囲気」

2022.9.23 23:30

9月23日(25:29~)放送の『バズリズム02』に出演するHY。今月21日にリリースした15枚目のオリジナルアルバム『Kafuu(カフー)』は、沖縄の言葉で“「果報」「良い知らせ」を運ぶ”という意味があり、沖縄と家族への愛をテーマに、聴く人に元気と幸せを運んでくれるピースフルな1枚に仕上がっている。今回はそのアルバムと、来年主催する『HY SKY Fes 2023』について話を聞いた。

■15枚目にして、初めて沖縄の方言をアルバムタイトルに

——『Kafuu』はどんなアルバムですか?

新里 今回15枚目のアルバムなんですけど、今までのアルバムとはちょっと違っています。今までの作品はレコーディング期間を固めて、2週間くらい集中して1曲ずつ連続で作っていくような形だったんですよ。でも今回はコロナ禍っていうのもあり、時間に余裕があったので、タイアップが来たら1曲作り、また話が来たら1曲作る。その間にも個々で制作はあって、詰め込んで作るんじゃなくて余裕をもって作っていき、その1曲1曲に集中して作っていけたアルバムです。気づいたらアルバム作れる曲ができてるねっていう感じで。1曲1曲を見ていくと、沖縄のことや、自分たちの生活の流れを書いている歌詞とか、身近に対する愛とか友達とか、そういうことが描かれていて、今までと違うような雰囲気です。タイトルの“カフー”はイズの口からなんですけど、沖縄の方言をタイトルにしたのは初めてなんですよ。でもすごくしっくり来て、この曲たちが伝えたいことが合っていたので、このタイトルで作り上げていきましたね。沖縄の僕たちが住んでいる場所で生まれた曲、幸せがいっぱい詰まっているので、それをみんなに届けたいっていう思いで“カフー”に決まりました。

——15枚目という数について感じるところはありますか?

名嘉 レコーディングが少しずつ始まっていくときは、次は15枚目だっていう意識はしてました。でもそこまでフォーカスを当ててしまうと、がんじがらめになっていくかなと思っていたので、そういうのは途中でなくなっていきました。さっき言ったように連日レコーディングではなくて、生活に寄り添いながらレコーディングしていったので、今回のアルバムはどれだけ沖縄愛が詰まっているかっていうのが透けて見える楽曲たちが多いと思います。

■意外と少ない夏曲『キラリ』は、聴いたあとに一歩踏み出せるナンバー

——リードトラックの『キラリ』はどんな楽曲ですか?

新里 夏曲です。HYって沖縄だから夏っていうイメージがあるかもしれないですけど、夏曲は結構少ないので、その中のひとつになれてうれしかったです。夏曲を作るにあたって、沖縄の外で感じる大自然とか、キラキラ輝くものをこの曲に入れたいと思っていました。でも最後まで歌詞を書くのに悩んでいたんです。ちょっとスタジオを飛び出して、気分転換に散歩に行ったら目の前に海があって、その海に太陽の日差しが差し込んで水面がキラキラ輝いていたんですよね。きれいだな、リラックスできるな、パワーもらえるなって思ったときにタイトルは『キラリ』にしようと決めました。歌詞の流れ的にもキラキラ輝くものを集めて作っていたから、本当にちょうど合うと思いました。この曲を作るとき、自分も悩みがあって歌詞を探しに出かけていった。なにか行動を起こさないと素敵なものにはきっと出会えないので、この曲を聴いたあとは一歩踏み出して、あなたならではのキラリを探してみてはどうですか?というメッセージを込めて作りました。

——アルバムを制作するときは、沖縄の曲をどれくらい入れるか考えるのですか?

仲宗根 いつもは「バラードが多めだね」とか「明るいの増やそう」とか話すんですけど、今回は終わってみたあとに「めっちゃみんな沖縄のこと書いてるな」とか「沖縄音階の曲が多いな」って気づいて、それで沖縄愛の多いアルバムにしようという感じでした。

名嘉 復帰50年というのも自然と入ってきてると思います。あとは世界情勢もあり、カフーって幸せとか良い知らせという意味があるので、その楽曲たちを通して自分たちの願いや祈りも入っています。このアルバムを通して、幸せをみんなで共有して届けられたらいいなっていう思いは大きくありますね。

■4回目となるHY主催フェス 子供たちが夢を掴むきっかけを作りたい

——来年主催の『HY SKY Fes 2023』はどんなイベントですか? 新里 SKY Fesは自分たちの夢でもありました。HY主催で、沖縄でこういうイベントを作り上げていきたい。そのひとつが、子供たちに夢を与えるきっかけを作りたいということ。子供たちが楽しめる、家族でも楽しめるフェスになっています。4回目となる今回はビッグアーティストがたくさん来るので、そのプロのミュージシャンたちを家族で楽しんでもらいたい。子供たちって色んなところで夢とか興味を見つける瞬間があるんですよ。子供たちの前で授業することがあって、そこで演奏したときに、アーティストだけではなくギターを持ってきてくれるスタッフに目がいった子がいて「スタッフになりたい」と言ったんです。そういう色んな夢があるので、SKY Fesは子供たちにとっても夢を掴むきっかけがいっぱい散りばめられています。

——『HY SKY Fes 2023』の見どころを教えてください。

名嘉 いっぱいありますね。ワークショップで色々な楽器を作ったりとか。音楽って見えないものなので、その日の記念になると思うんですよね。やっぱり一番はヒデ(新里)が言ったみたいに子供たちに夢を与えるきっかけになってほしい。沖縄って島国なので、県外や国外からアーティストが来るっていうのは少なくて、そういった音楽の触れ合い方を子供たちにもっと感じてほしい。あと、お父さんお母さんが楽しんでる姿も子供たちに見てほしいんですよ。お父さんお母さんってこんな顔するんだ、とか。SKY Fesなので、どこまでもつながる空の下で、大好きなアーティストたちと一緒に素敵な思い出を作っていきたいですね。泊まることもできるし、今回は前夜祭も含めて3日間あるので、思いっきり楽しんでほしいです。

新里 あと、装飾とかも自分たちで準備するっていうのも俺たちオリジナルのフェスじゃない?

仲宗根 普通イベントってスタッフに任せて、お金も運営側が出すじゃないですか。私たちは自腹ですから。私だけなんですけど(笑)。会場が運動公園なので、森みたいな感じなんですよ。木がいっぱいあるので、その木々すべてに装飾を考えてます。その装飾も買うだけではなくて、現場の廃材とかをもらいに行って、その交渉も全部自分でしています。キャンプもできるんですけど、そのテントもメンバーみんながそれぞれ張ったものにお客さんが泊まってます。ライブ中はライブを見れるかと思いきや、会場内をゴミ拾いしてますし、ライブが終わった次の日も朝から集まって装飾を外したり、ゴミ拾いも全部自分たちで回ったりします。世界一クリーンを目指そうっていうフェスなので、そこも気合い入れて、すべて自分たちの手でやるというのが本当のフェスじゃないかと思ってます。

——とても忙しくないですか?

仲宗根 めっちゃ忙しいですよ。恐ろしいスタッフたちだなと思います(笑)。でも楽しいし、子供たちや協力してくれる人がたくさんいるので、みんなでフェスを成功に導いていこうという感じも楽しくて、それもSKY Fesのいいところです。

——entaxをご覧の方へメッセージをお願いします

新里 HYは皆さんのおかげで今年22年目を迎えることができました。今も沖縄に住みながら活動しているんですけど、今回の15枚目のアルバム『Kafuu』は今までと違った、より僕たちらしいバックボーンも見えながら、力強さ、温かい愛も込められています。HYを初めて知る方、ライブを見に来てくれる方もぜひ僕たちの世界を感じてほしいです。僕たちにしか出せない素敵なものがきっとあると思いますので、応援よろしくお願いします。

インタビュー前編はこちらから。

【HY プロフィール】

結成22年目を迎えた沖縄県出身の4人組バンド。グループ名の「HY」は、彼らの地元・東屋慶名(Higashi Yakena) の地名が由来。これまでに『AM11:00』『366日』など多数のヒットソングを世に生み出してきた。9月21日には15枚目のアルバム『Kafuu』をリリース、来年3月にはHY主催による音楽野外フェス『HY SKY Fes 2023』を開催予定。

(entax取材部)

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