AI映像アワード「WFAIA(ダブルファイア)2026」初開催 5部門と特別賞の受賞作が決定

AIを使った映像制作を対象にしたアワード「WFAIA(ダブルファイア)2026」の表彰式が9月3日、東京大学・伊藤謝恩ホールで開かれた。今年が初開催となる。ファイナリスト25組・26作品の中から、5部門の最優秀賞と各特別賞が発表された。

AIで作った映像を、工程から評価する

WFAIA 2026(WORLD Floyo.AI CREATIVE AWARDS 2026 in Tokyo)は、AIを使って映像を作るクリエイターを対象にしたアワードだ。主催はWFAIA実行委員会。参加費は無料で、会場と並行してYouTubeでも配信された。このアワードの特徴は評価軸にある。完成した映像の出来だけを見ない。どのツールをどう組み合わせ、どんな手順で作品にしたか。その工程を審査の対象に含めている。

AI映像の分野では、優れた出力が偶然生まれることがある。同じ手順をもう一度なぞって、同じものが出てくるとは限らない。工程を見ることで、完成した映像だけでは見えない、作り手の試行錯誤や設計まで評価する。

部門はAIアニメ、広告、ショートドラマ、バイラルSNS、キッズ・教育の5つ。尺は部門によって15秒から5分まで幅がある。各部門で最優秀賞と審査員特別賞が選ばれるほか、スポンサーによるElevenLabs賞とOMNI AI Festival賞、そしてWFAIA審査員特別賞が用意された。応募の中から選ばれたファイナリストは25組・26作品。

審査員は5人。ピクサーとILMで映画監督を務めたColin Brady氏、元Amazon MGM Studiosのクリエイティブ・エグゼクティブのKen Nakada氏、Think Diffusion/Floyo CDOのMatt Shih氏、ElevenLabsでCreator Competitionsを担当するMatty Shimura氏、VFX・アニメーション業界のベテランであるDarren Kiner氏が名を連ねた。

実行委員長のあぎ氏、Floyo Co-Founder & CEO Pho Ngo氏、Floyo Advisor Kaoru Yoshihira氏、審査委員Ken Nakada氏

「誰でも同じ作品が作れる」わけではない

表彰式に先立ち、WFAIA実行委員長のあぎ氏が挨拶に立った。

「AIを使えば誰でも同じような作品を作ることができる、そんなふうに言われることもあります。ですが、今回集まった作品を見ていただければ、それは違うと納得いただけるんじゃないか」

全応募作に目を通したというあぎ氏は、映像のクオリティを追求した作品、短い尺にメッセージを詰め込んだ作品、AIでしかできない表現に挑んだ作品と、方向の違いを挙げた。そのどれにも「試行錯誤、情熱、幾度となく繰り返したんだろうなという重ねた時間」が見えたという。
AIが進化するほど、人間だけが生み出せるアイデアや想像力、とりわけ物語の価値が高まる。そう続けた上で、「今日はこの賞を決めるだけの日にはしたくない」と話した。

2つの基調講演

Session 01は2部構成。前半は、ドラマ「こちら予備自衛英雄補?!」の制作にAIを使った日テレ アックスオンの古田則夫氏と本多繁勝氏が登壇。動物のシーンや昭和の街並みなど実写では手間のかかる部分をAIが担い、一方で俳優の演技を生かすカットや編集時の色合わせに苦労したと話した。後半はあぎ氏が加わり、「オープンウェイトか、クローズドか」と題して、当時苦労したカットを現在の手法で作り直す実演が行われた。

Session 02は、審査員のひとりでもあるKen Nakada氏。ハリウッドが2023年以降どうAIを受け入れてきたかを話した。フィルムからデジタル、VFX、バーチャルプロダクションと技術の移行を経験してきた立場から、「AIはすべてに向いているわけではないが、向いていることはある」と述べた。

Floyo Advisor Kaoru Yoshihira氏、審査委員Ken Nakada氏の写真

受賞作

表彰式は午後2時半から始まり、ファイナリスト26作品を上映しながら各部門の受賞者が発表された。

【広告部門】
・最優秀賞
「ONE PUSH/ワンプッシュ」 Dr_kj
・審査員特別賞
「OMOHI」 なぎ沢
・バイラルSNS部門
・最優秀賞
「EMPTY CALORIES」 ヨシホリ
・審査員特別賞
「wallart」 HH

【キッズ・教育部門】
・最優秀賞
「ノキちゃん、いただきます!」 古田則夫
・審査員特別賞(Matty Shimura)
「SEA-BORNE PROMISE」 Sami

【ショートドラマ部門】
・最優秀賞
「還る〜Return」 やす
・審査員特別賞(Colin Brady)
「LAST TAKE/ラストテイク」 テックトークナビゲーター
・ElevenLabs賞
「Journeys」 Marofumi

【AIアニメ部門】
・最優秀賞・ElevenLabs賞・WFAIA審査員特別賞
「THE IRON NEST(鉄屑のゆりかご)」 AICO
・審査員特別賞(Ken Nakada)・OMNI AI Festival賞・ElevenLabs賞
「かたちごと」 FinishFish

実行委員長のあぎ氏、審査委員Ken Nakada氏と受賞者の写真

指数関数的に良くなっている

全部門の発表を終え、審査員のKen Nakada氏が総評を述べた。

「AIツールが向上するにつれて、経験豊富な映画製作者たちがそのツールを学び始め、より良い映画が生まれています。過去数年間、非常に多くのAI映画祭に参加してきましたが、それらは指数関数的に良くなっています」

ツールが良くなればベテランがより多く使う。同時に、新しい作り手も機会を得て、物語の組み立て方をより早く学んでいく。Nakada氏はその両方が同時に起きていると話した。

「私はクリエイティブなプロフェッショナルとして、常にインスピレーションを与えたいですし、インスピレーションを受けたいと思っています。ここにあるすべての応募作品とすべての映画製作者たちは、私に本当にインスピレーションを与えてくれました」


※Ken Nakada氏の発言は英語。日本語訳は編集部による。
※entaxを運営する株式会社日テレ アックスオンは本イベントに協賛しています。

写真・取材・文:entax編集部