シンガーソングライターデュオ「weak.butterfly」双子の姉妹が生み出す独特の音楽世界
entaxが発信する新たな音楽企画『NEXT BREAKERS』
アーティストの未来を一緒につくっていこう!
来年春にはentax主催の音楽フェスも開催予定。みなさんが見つけた新しい才能もぜひ教えてほしい。
5組目は、ツインヴォーカルユニット「weak.butterfly」。同じ大学に通う双子の姉妹、彩乃と倖乃。双子ならではのハーモニーが奏でる独特の音楽世界とは?インタビューを受けるのは初めてというふたり、作品が生まれるまでの背景やルーツを聞いた。
「weak.butterfly」(弱い蝶)に込めた意味
―簡単に自己紹介をお願いします。
彩乃:weak.butterfly、ボーカル、姉の彩乃(あやの)です。
倖乃:ギター/ボーカル、妹の倖乃(ゆきの)です。
―バンド名「weak.butterfly」の由来について教えてください?
彩乃:私の好きな言葉で、「幸せは蝶のようなもので、追いかけると逃げてしまう。だけど他のことに目を向けていると、そっと肩に止まるだろう。」というのがあるんです。この言葉を聞いた時に、「きっと弱い蝶でも幸せを届けてくれるんだろうな」って考えて。それがすごく気に入って、「弱い蝶」という意味を込めてユニット名にしました。
―先日、代官山の『晴れたら空に豆まいて』というライブハウスでステージを拝見しました。
倖乃:ライブの経験がたくさんあるわけではないんですけど、あの場所では二回目でした。
彩乃:一回呼んでいただいて、「二回目もぜひお願いします」って言っていただいて。
―一回目で気に入っていただいたんですね。あの時、お姉さんが一緒にいらっしゃったんですよね。
彩乃:はい、そうですね。姉はすごく応援してくれていて、ライブによく顔を出してくれるんです。
―三人姉妹で、おふたりが双子ですね。
彩乃・倖乃:はい、二卵性です。
―ご家族は二人の音楽について何かおっしゃっていますか?
倖乃:作った直後に母によく聞かせます。ほめてくれますが反応が分かりやすくて(笑)。気に入ってるときと気に入ってないときが分かりやすいので、わりと参考になります。
―お母さんの反応を見て、変えたりもするんですか?
倖乃:変えますね。
彩乃:客観的な意見をストレートに言ってくれる人って、なかなかいなくて。だから大事です。
―どんな感想が出てくるんですか?
彩乃:「暗い」とか、「ちょっとキー下げた方がいいんじゃない?」とか。「なんかもうちょっと聞こえやすくした方がいいんじゃない」とか、いろいろアドバイスをくれます。
倖乃:参考にしてます。

同じ声が重なり生まれる、独特のハーモニー
―ふたりの声は似ていますが、歌う時に心がけていることなどはありますか?
彩乃:ふたりで歌う時は、お互いの癖を理解しつつ動きを同じにすることを心がけています。
―妹の倖乃さんのほうが少し声が低いですよね?
倖乃:そうです。
彩乃:倖乃のほうが低めのパートだったり、男女で歌っている曲とかをカバーするときは、基本的に男性を倖乃、女性を彩乃が歌います。
―一緒に歌うようになったのは、いつ頃からですか?
倖乃:子供の頃からずっとふたりでハモっています。学校の合唱曲でも、アルトとソプラノのパートだったので、家で一緒に練習したりしていました。

転機となった、高校二年生の夏
―初めてふたりで人前で歌ったのはいつですか?
彩乃:高校二年生の夏に、ラゾーナ川崎の『アコースティックパラダイス』というイベントで歌ったのが最初です。
倖乃:オーディションに応募して。
―初めてのステージで、かなりお客さんもいたんじゃないですか?
倖乃:緊張しました。
彩乃:楽しみだっていう気持ちのほうが大きかったですね。やりたかったことなので、好奇心のほうが大きかったです。すごい景色が良かったというか、いろんな人が自分たちの歌のために足を止めて聴いてくれるっていうのがすごく新鮮で。素敵な気持ちになれて、すごくやって良かったっていう気持ちでした。
倖乃:思い返すと、最初はオリジナル曲はやりたくなかったんですよ。不安でやりたくなかったんですけど、こんな機会はあまりないから、やっぱやるべきだよねって。結果、オリジナル曲が一番反応が良かったです。本当にやって良かったって思いました。
―倖乃さんはギターも弾いたんですか?
倖乃:弾きました。その頃に始めました。小学六年生の頃に、父の友人からギターを譲ってもらって弾き始めたんですが、一度挫折したんです。高校二年生の時に、久々に弾きたい曲を弾いてみたら、なぜかうまく弾けて。
―音楽を本格的にやっていこうと決めたのはいつですか?
彩乃:それも高校二年生の時です。Keaneの「Everybody's Changing」にコーラスをつけてカバーしたら思っていた以上に楽しくて。ふたりでやっていくのもいいかもねって。その時ふたりでプロとしてやってみようって決意した感じです。
―おふたりはどんな子どもだったんですか?
彩乃:ふたりともすごくアクティブで日に焼けてました。外で遊ばないときはお家で絵描いたり物を作ったりとか、そういう感じの子でしたね。
倖乃:私は保育園の頃からずっとスポーツをやっていたので、友達が男の子しかいなくて。彩乃とも学校で一緒にいるわけではなくて別々のグループにいて、家に帰ったら一緒に歌うみたいな。別々の時間を過ごして家ではふたりで歌ってました。
―音楽以外に好きなことはありますか?
倖乃:ふたりとも絵とスポーツが好きです。
彩乃:私が一人でカバーした『見上げてごらん夜の星を』のミュージックビデオは、私がアニメーションを作りました。
―あの素敵なアニメーションはご自身で作ってるんですか?
彩乃:はい。やってみたくて。アニメーションのアプリを使って、スマホで描きました。
―AIとか使わずに描いたんですか?
彩乃:AIは使ってないです。自分で400枚絵を描きました。
―すごい!

―ふたりの音楽の好みは同じなんですか?
彩乃:本当に全く好みが一緒っていうのは音楽だけで。食べ物とかも、割とお互いが好きなもの、嫌いなものっていうのを理解してるんですけど、好きなものと嫌いなものが割と違ってますね。やっぱり音楽が一番同じかなって感じです。
倖乃:音楽の好みは全く一緒です。
―音楽を最初に聴き始めたきっかけを教えてください?
彩乃:母が山口百恵さんが好きで物心つく前から聴いてましたが、ふたりの好きな曲が全く同じでした(笑)。
―邦楽、洋楽どちらも聴いていたんですね?
彩乃:私たちが幼い頃から母と姉がすごく音楽好きで、車の中や家でも洋楽もいっぱい流れてました。Radioheadの『CREEP』はその頃から聴いていた曲で、歌ってもいました。
―『CREEP』のカバーはすごく素敵です。私が勝手に思ってるんですが・・・Radioheadは、“悩みとか不安“を歌い、ギターの違和感のある音と共鳴する曲がありますが、ふたりの詞とコーラスの共鳴に同じようなものを感じています。
彩乃:意識したことはないんですけど、すごく嬉しいです。
倖乃:すごいうれしいです。
―どんな風に練習しているんですか?
彩乃:ライブの形と一緒ですね。基本的に倖乃が弾いて、ふたりで録音しながら歌って。「ここもうちょっとこういう感じにしよう」とか、もう一回歌い直してっていう繰り返しで。
―曲はふたりで作っているんですよね?
倖乃:決まったやり方とかがないですね。曲によって作り方が違っていて、別々に一人で作ったものもあれば、初めからふたりで作ったものもあります。一人で完成させることもあるし、私が途中まで作って一緒に最後まで完成させるとかもあります。
―詞と曲、どっちが先なんですか?
倖乃:それもまちまちです。同時に出てきた曲もあれば、使いたいコード進行ができて、それに合わせてメモしていた歌詞をつけることもあります。
―意見が合わないこともありますか?
彩乃:お互い言ったこともあまり覚えてないし、だからこそ意見が合わないときもありますが、ちょっと頭を冷やしたら何事もなかったように忘れて作業を始める感じです(笑)
『死合わせを倖せに』―別の歌詞とメロディを同時にハモる
―春にリリースしたファーストシングル『死合わせを倖せに』はどんな曲ですか?
彩乃:お互い思いついた時に歌詞をメモしていますが、その中でお互い似たような気持ちの歌詞をたまたま書いていて、「一緒に曲にしたらいいかもね」って。
倖乃:歌詞を書いた時期、お互い自分自身に結構落胆していた時期だったんです。歌詞を見ると、その頃の気持ちがそのまま現れますね。
―同じ時期にふたりの気持ちが同じだったりとかよくありますか?
彩乃:双子なのもあって、人一倍お互いの感情を共感し合うというか。どちらかに何かあったら同じくらい落ち込むとか。それで同じような詞を思いついたりするのかもしれません。
倖乃:お互い話し合ってないけど、「分かってるでしょ」っていうことが結構多いです。急に同じ曲の全く同じところを歌い出したりするときもあります。
―『死合わせを倖せに』はライブでも聴いて驚いたんですが、サビで違う歌詞を同時にハモる、しかも違うメロディで。
彩乃:倖乃がコードとかメロディとか詞を作って、二番まで作って聴かせてくれたんです。「コーラスをつけたいね」ってなった時に、同じコードで違うメロディと詞を作って一緒に歌ったら素敵になるんじゃないかという話になったんです。
―それぞれのパートは、それぞれが作っているんですか?
彩乃:はい、それぞれが作ってます。
―曲作りも歌うのも難しくなかったですか?
彩乃:そうですね。同じ歌詞をハモるよりも少し意識することは多い気がします。曲を作ることは難しくなかったです。「やりたい、やってみたい」っていう気持ちが大きかったです。
―この独特のコーラスに何か影響していることはありますか?
彩乃:幼い頃に合唱曲をふたりで歌っていたんです。合唱曲はメロディーラインに沿ってコーラスがあるというよりは、コーラスがそれぞれの動きをしているんです。それが私たちがすごく好きな点で、そういうコーラスワークをやろうって意識して曲を作っています。楽器がまだあまり弾けなかったときに、ふたりで好きな曲の音をコーラスで補おうとしたりとかしました。そういうのもあって、独特な動きのコーラスワークになってるんだと思います。
新曲『人間界の密かな恋』――三つの視点で描く物語
―『人間界の密かな恋』はどんな曲ですか?
倖乃:男の子と女の子、あと神様的な視点という三視点あって。女の子は男の子に夢中で、男の子はみんなに平等に親切で。神様的な視点は、その男女の物語を見守るというか、自分の意思で操ったりもしているんですけど。最後は人によって解釈が違うように作りました。
彩乃:歌い分けもしていて、男の子は倖乃、女の子は彩乃、神様視点でハモるっていう感じです。
倖乃:口調も少し変えて。

―ライブでのお客さんの反応とか声はいかがですか?
彩乃:ライブのあと、SNSで応援のメッセージとかいただいたり、少しフォロワー増えたりするので、頑張るしかないなっていう感じですね。
―印象に残っているメッセージはありますか?
彩乃:大阪のファンの方が、「大阪にもライブで来てほしいです。来てくれたら必ず行きます」というメッセージをくれました。そこまで自分たちのライブを見たいと思ってくれている、その大きな気持ちを持ってくれている人がいるっていうのを初めて知って、心にすごく残っています。
―今後の予定を教えてください?
彩乃:十月にリリースする予定の曲があって。今までの曲に比べてマジョリティを意識して作ったというか、より多くの人に私たちを知ってもらうために、その扉となる曲として作りました。他の曲に比べて、すんなり入ってくる曲になってるかなと思います。あとは少し明るいというか、ポップめになっています。
倖乃:いろんな方々に私たちを知ってもらって、独特な私たちの世界を気に入ってもらえたら、そういう方が増えたら嬉しいです。
彩乃:家族の中でも私たちの曲って賛否分かれるんです。すんなり入ってくる楽曲ではないのかもしれないけど、私たちの曲にすごい共感してくれる人とか、魅力的だなって感じてくれる人が今後増えていったらいいなって思います。
―おふたりの夢を聞かせてください?
彩乃:あわよくば死ぬまでふたりで歌い続けて生活できる、そんな夢です。
倖乃:母と父、もう一人の姉に、なにか大きいプレゼントをしたいなって思ってます。
weak.butterfly プロフィール
2006年生まれ、彩乃(Vocal)と倖乃(Vocal & Guitar)の双子によるツインヴォーカルユニット。同じ大学に通う姉妹。幼い頃から二人で声を重ね、ハモることが日常だった。その積み重ねが形となり、2024年の夏、weak.butterflyを結成。
■10月10日(土)大阪ミナミで開催される日本最大級のライブショーケースフェスティバル、Maxell presents MINAMI WHEEL 2026に弾き語りセットとバンドセットで出演。
MINAMI WHEELのサポートには、鶴田龍之介(Guitar)、三輪和生(Bass)、エノモトナオキ(Drums)、ゆづき(Keyboard)がサポートメンバーとして出演。
―Maxell presents FM802 MINAMI WHEEL 2026―
2026年10月10日(土)~10月12日(月) チケット発売中
https://minamiwheel.jp/
『人間界の密かな恋』ミュージックビデオ
『死合わせを倖せに』 ミュージックビデオ
彩乃カバー『見上げてごらん夜の星を』
インタビュアー:プロデューサー・喜久知重比呂
レディー・ガガ、テイラー・スウィフト、ブルーノ・マーズなど数々のアーティストを日本のテレビ番組にブッキングし生ライブをプロデュース。国内外のミュージシャンとも交流し音楽フェスをプロデュース・演出。音楽・映画・アートなどのライター、DJとしても活躍中。現役の美大生。その知識とパイプを活かし、注目のアーティストを紹介していく。
『NEXT BREAKERS』MUSIC公式Instagram
『NEXT BREAKERS』MUSICの公式インスタグラムがオープン。
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―次回予告
スリーピース・バンド、さらば帝国が登場!
写真:山本菜々子