声優・水瀬いのり「思春期って、終わりがあるものだった」瀬戸麻沙美、石見舞菜香と語る『青ブタ』シリーズ完結編の“見どころ”
8年の時を経て、ついにシリーズ完結──劇場アニメ『青春ブタ野郎はディアフレンドの夢を見ない』にてメインキャストを務める、瀬戸麻沙美(桜島麻衣 役)、石見舞菜香(美東美織 役)、水瀬いのり(牧之原翔子 役)にインタビュー! シリーズを通して感じてきたキャラクターたちの成長と変化や、“謎”を解き明かしていくミステリー小説のような要素、そしてぜひ注目して欲しいという“《意味》を感じながら観るライブシーン”など、完結編ならではの見どころを教えてくれた。
『青春ブタ野郎』(通称:青ブタ)シリーズは、思春期特有の悩みが引き起こす不可思議な超常現象「思春期症候群」(姿が見えなくなる、同じ日が何度も繰り返される など)を軸に、主人公・梓川咲太(あずさがわさくた/CV.石川界人)とヒロインたちとの交流・成長を描く青春ファンタジー。
鴨志田一 氏によるライトノベル(電撃文庫)を原作とし、2018年放送の『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』からアニメシリーズがスタート。劇場版3作品と、TVアニメ第2期を経て、ついに10月16日(金)より最新作にして完結作の『青春ブタ野郎はディアフレンドの夢を見ない』が公開。《高校生 編》《大学生 編》と通じて描かれてきた「思春期症候群」に残された謎がついに解き明かされる──。

見どころは、“《大人》になっていくみんなを見る”こと
──今作『ディアフレンド』で『青ブタ』シリーズがついに完結しますね。まずは、脚本を読んだ率直な感想をそれぞれお聞かせください。
瀬戸:制作が決定したときから「あっ、ついに終わるのか…」という気持ちと、だんだんと複雑になっていく『青ブタ』のストーリーをどうまとめていくのかを楽しみにしながら脚本を読みました。今回は《歌》がテーマになってくるところもあるので、歌詞を文字で見たときのメッセージ性や意味合いの大事さを感じましたし、内容を言えないのがもどかしいのですが、ミステリー小説のように謎を解き明かしていく感じが、『青ブタ』自体がクライマックスに向かっていく感覚と似ていて、ワクワクしながら読めました。
水瀬:翔子の立ち位置でいうと、彼女の物語自体は『ゆめみる(※)』でしっかり描いていただきましたし、そこからは咲太くんと麻衣さん、周りを取り巻くキャラクターたちの謎が紐解かれていくので、翔子を演じている身としては見守るような立ち位置で脚本を読みました。みんなが大学生になっていたり、高校生の中でも成長して学年が上がっていたりして、「思春期って終わりがあるものだったな」と──。大人になっていくみんなを見るというのが、今回の完結編の見どころかなという気持ちでアフレコも向き合いました。
※2019年6月公開の映画『青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない』
石見:私が演じさせていただいている美織ちゃんは、今回の劇場版の一つ前『サンタクロース(※)』で初登場した《大学生 編》のキャラクターです。当時は「思春期症候群」に直接関わるというより、咲太くんと同じような《観測者》側の目線で描かれていたので、今回の『ディアフレンド』ではどのような美織ちゃんの一面が見れるのかなと、楽しみに台本(脚本)を開いていました。途中からの参加ということもあって、もちろんシリーズをすべて見させていただきながら時系列を一生懸命整理して…(笑) 私自身の『青ブタ』の歴史はまだ新しいものではあるんですけど、これまで皆さんが辿られてきたものを一緒に感じながら収録できたらいいなと思いました。
※2025年7~9月放送のTVアニメ『青春ブタ野郎はサンタクロースの夢を見ない』
──瀬戸さんは麻衣を演じて約8年。シリーズを通して、彼女がどのように成長・変化してきたと感じますか?
瀬戸:自分が演じるキャラクターは、いつも近くで、同じ目線で見たいなと思っているのですが、麻衣さんの印象は日(ひ)を、年(ねん)を増すごとに本当に完璧な人だなというイメージがあります。『おでかけシスター(※)』あたりから、咲太のことを陰ながら支える存在になっていったなと思いますし、言葉だったり、彼女に起きる出来事だったりで大きく表現はされていませんが、だからこそ麻衣さんはもう大人になっていると感じます。
※2023年6月公開の映画『青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない』
──いち視聴者としては、麻衣は咲太からの愛を疑っていないのがすごいなと感じます。どっしりしていると言いますか。
瀬戸:そこは本当に不安がないんだろうなと思います。咲太も誠実さをちゃんと見せるし、麻衣さんも、本当は思っていないけど「大丈夫なの?」みたいにつついたり、嫉妬しているような表情を見せたりっていうのは、本心もありながら、きっとそれをしたら咲太が喜ぶのを分かっている。そういう2人の中でしか完成しない信頼関係があって、それが盤石のものになっているんでしょうね。
──水瀬さん演じる翔子はいろんな年齢や可能性の世界が出てきますが、彼女自身にはどんな印象をお持ちですか?
水瀬:私が演じる「翔子ちゃん」であり「翔子さん」は、どちらを選ぶのかという大事な分岐では必ず出てくるんですよね。ネガティブな意味ではなく、本当にずるい人だなと思います(笑) ですが、彼女自身のあり方や置かれている境遇は、決して天才だったり、恵まれていたりということではなく、とてつもない努力の人。翔子さん節(ぶし)で咲太くんに言葉をかけるシーンなんかも、彼女には彼女の正義があって、それをひけらかすことなく光として与えてくれる。そんな立ち位置が、本当にヒロインでありヒーローだなと感じます。
最初に翔子ちゃんを演じることが決まったときには、こんなに大きな存在として、この作品の枠組みに絡んでくるキャラクターだとは想像していなかったんです。癒やし系なのかな、妹枠なのかなと思っていたところから、物語が進むにつれて、翔子さんが『青ブタ』の一つの概念的な部分にいるんだと気づき、本当に「翔子さん役」というだけで私にバフがかかるぐらい、いただく恩恵が色々ありすぎると感じます。こんな人になりたいなと思うのと同時に、翔子さんの弱い部分、完璧ではない部分も愛するキャラクターに昇華できたのはすごくうれしいなと思います。
──石見さん演じる美織は比較的新しいキャラクターですが、“大学生女子の服装に関する話”なんかは結構強烈でした。男の子にそれ言っちゃうんだと思って(笑)
石見:そのセリフは、私の中でも印象に残っています。学生時代、制服を着ている頃はスカートを短くしてみたり自分の個性を出していこうとなっていたのに、いざ何でも着ていいですよってなったら無難を選んで、空気を読んでしまうみたいな──。美織ちゃんは、なんとなくの空気を言語化できる冷静さというか、物事の捉え方がすごく面白いなと、セリフを読むたびにハッとさせられるキャラクターです。
《大学生 編》から登場してきた当初は、咲太くんに声をかけに行ったりして、結構コミュニケーション能力があったり、明るい印象ではありつつ、どこかつかみどころのないミステリアスさも同時に持っていて、周りも自分も俯瞰して見れる大人びたキャラクターだなと思いました。人に対する目線もすごく冷静だし、自分が人からどう思われているかを的確に分かっていて、うまく立ち回れる器用なタイプだなと思いつつ、「思春期症候群」について自然と言及したりと、何かまだ奥深さがあるんだろうなと予感させるような印象でしたね。
“意味”を感じながら観るライブシーンは必見
──改めて、今作『ディアフレンド』の見どころについてお伺いできればと思います。シリーズ完結作としては、どんなところに注目すると良いでしょうか?
瀬戸:やはり、今まで咲太たちの経験してきたことが集結していくところが見どころです。特に翔子さんは、ヒーローの登場のように出てくるので(笑) 私たち含め、ファンの皆さんもすごくうれしいところだと思うんですけど、翔子さんが帰ってくるということは、咲太が頑張らなきゃいけない何かがあるといいますか、物語が動くときなんですよね。ここまで『青ブタ』を見てきてくれた人だからこそ楽しめる要素も多いと思います。
水瀬:『青ブタ』は、『サンタクロース』あたりから“見えないもの”に対する興味や恐怖といったミステリアスさがより加味された作品になっている気がしていたのですが、この『ディアフレンド』も“形ない声”を探すといいますか、触れられそうで触れられない真相に悪戦苦闘していくところが、毎週放送されるTVシリーズではない劇場版だからこその没入感があると思います。ちょっとした謎解き感、その先にある答えが一体何なのか──。ぜひ最後のシーンまで見届けていただき、その答えに触れてみてほしいです。
石見:タイトルの『ディアフレンド』は《大切な友人へ》という意味だと思いますが、美織ちゃんとしてもこのタイトルがすごくぴったりだなと思うエピソードが込められていたりするので、ぜひそういったところも注目していただけたらなと思います。

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【瀬戸麻沙美 Profile】
埼玉県出身。4月2日生まれ。 StarCrew所属。第十九回(2024年度)声優アワードにて「助演声優賞」受賞。主な出演作に『ちはやふる』綾瀬千早、『日本三國』東町小紀、『呪術廻戦』釘崎野薔薇、『怪獣8号』亜白ミナ、『トロピカル~ジュ!プリキュア』滝沢あすか/キュアフラミンゴ、『東京喰種トーキョーグール』真戸暁、『SCARLET NEXUS』カサネ・ランドール など。
<公式サイト>
<公式X(@SETO_A_OFFICIAL)>

【石見舞菜香 Profile】
埼玉県出身。4月30日生まれ。ラクーンドッグ所属。第十三回(2018年度)声優アワードにて「新人女優賞」を、第十八回(2023年度)声優アワードにて「助演声優賞」を受賞。主な出演作に『フルーツバスケット』本田透、『【推しの子】』黒川あかね、『真・侍伝 YAIBA』峰さやか、『ふつつかな悪女ではございますが 〜雛宮蝶鼠とりかえ伝〜』黄玲琳、『鬼の花嫁』東雲花梨、『株式会社マジルミエ』塔ノ森サカヱ、『ウマ娘 プリティーダービー』ライスシャワー など。
<公式サイト>
<公式X(@_manaka_430)>

【水瀬いのり Profile】
東京都出身。12月2日生まれ。アクセルワン所属。第十回(2015年度)声優アワードにて「主演女優賞」受賞。同年に歌手としてソロデビューを果たし、以降は楽曲制作やライブ活動にも注力。主な出演作に『Re:ゼロから始める異世界生活』レム、『ご注文はうさぎですか?』香風智乃/チノ、『五等分の花嫁』中野五月、『キラキラ☆プリキュアアラモード』キラ星シエル/キラリン/キュアパルフェ、『心が叫びたがってるんだ。』成瀬順、『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』ヘスティア、『宇宙よりも遠い場所』玉木マリ など。
<公式サイト>
<公式X(@inoriminase)>
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劇場アニメ『青春ブタ野郎はディアフレンドの夢を見ない』
2026年10月16日(金)公開
<公式サイト>
<公式X(@aobuta_anime)>
取材・文・写真:entax