【独自インタビュー】初舞台を踏む長濱ねる「この10年間…はみ出すのが怖かった」活動11年目の決意を語る<海⽼名⾹葉⼦追善公演 「東京の空」>
長濱ねるが3月11日(水)開催の朗読劇・海⽼名⾹葉⼦追善公演 「東京の空」に出演する。本作で初舞台となる長濱にentaxは独自インタビュー。初舞台への覚悟や、伝えたい想いを語る。さらに、長濱自身の“小さな平和”やターニングポイント、“活動11年目の長濱ねる”とは──
──長濱さんは今回が初舞台。どんな覚悟や想いで舞台に立ちますか?
今まで出演した映像作品と違って、初めて自分の芝居を目の前で受け取ってもらう機会なので、とても緊張していて、自分でもどんな公演になるのかまだまだ想像ができず、今はドキドキしています。今回、出演は私一人だけなので、“自分対お客さんのキャッチボール”。それも未知で緊張しています。
──舞台当日に向けて、どんな準備をされていますか?
舞台の作品には実話があったので、その本を読んだり、物語に出てくる父からいただいた手紙や弟さんからいただいた面子などの写真を、稽古の際に見せていただいたりして、自分の中でまだ想像しきれていない部分を補うように、そのお話の隙間を埋めていきました。
──長濱さんの若い年齢層のファンの方も見に来られると思います。朗読劇を通して伝えたい想いは?
東京大空襲のお話なので、この土地に生まれて育ってきた人には本当につらい過去として、ずっと記憶に残っているものだと思いますが、時間が経つにつれてどんどん“記憶のバトン”が途切れてしまっていて、なんとなくは知っていても詳しく知らないという方も多いと思います。来ていただく方には、物語として一緒に感じてもらって、その中でそれぞれが思うことや、受け取ってもらえることがあったら、一番幸せだなと思います。
戦争反対や世界平和、そういうことも届いたらいいなとは思いますが、それ以前に「身の回りの人を大事にしよう」「大切な人に連絡してみよう」「家族どうしてるかな」とか…そういう些細なことでも、この作品が生活を変えるきっかけになれるといいのかなって思っています。
──海老名香葉子さんの言葉に触れて、長濱さんの中で変化した感情や考えはありますか?
今この瞬間も、世界中で戦争が行われているんだなと思うとゾッとします。海老名さんの作品に触れてから、何気なく見ているニュースの解像度が上がって見えるんです。一人一人の生活があって、罪のない子どもたちがいて…と思うと、今の世の中も決して平和とは言えないなと改めて考えさせられました。
──朗読劇は言葉を声にして伝えること。長濱さんにとって「言葉」とは?
言葉は不思議だなと思います。同じ言葉を聞いても、プラスに捉える人もいればマイナスに捉える人もいて。言葉はただのツールではあるけど、言葉の裏側、想いがこもってこその“言葉”なのかなと思います。
海老名さんの言葉から「この一行にはどんな思いが込められているんだろう」とか「額面どおり受け取らず、強がってるのかな」悲しんでるのかな、怒ってるのかな」など…人の気持ちを想像することで物語が広がっていくのかなと思うので、私もきちんと気持ちを乗せて、言葉を使っていきたいなと思います。

──戦争は忘れてはいけないこと。最近、長濱さんの「忘れられたくないこと」はありますか?
私は今期のドラマ『おコメの女』(テレビ朝日)に出演していたのですが、毎週放送が終わった後に、80歳を超えてる祖母が連絡をくれていたんです。「今日も見てるよ」とか、見終わったあとに「今日も良かったよ」って。ドラマのことで祖母から連絡が来たのは今回が初めてなんです!普段「今日何食べたよ」とか、何気ない生活の連絡はよくくれるんですが、祖母はあまりテレビを見ないので、ドラマを見てくれているのはとても新鮮でびっくりしました。祖母の生活の彩りになってるのかなと思うとすごくうれしかったですし、この仕事をやっていてよかったなって改めて思いました。
──長濱さんの原点である長崎県・五島列島。節目のタイミングで帰っているとのことですが、最近はいつ頃帰省されましたか?
最近は去年の夏に帰りました。五島に戻った家族がいるので、最近は頻繁によく会いに帰っていますね。
──帰省した際にすることは?
のんびり過ごしています。畳で寝たり、本を読んだり、船で釣り行ったり…ぼーっとしてます(笑)
──ここ数年、ドラマなど連続してご出演されていますが、忙しい日々の中で大切に守っている“小さな平和”はありますか?
家の中をとにかく自分の好きなもので囲うことです。好きなインテリアや絵、音楽などの趣味のものを置いていて、家に帰ればホッとする空間を保つように心がけています。
──特にどんなものを集めていますか?
最近は、写真集『長濱ねる』を撮っていただいた高橋さんヨーコさんの写真を2点購入しました。両方冬の写真なんですが、全然違って。一つは「冬の朝方の澄んだ空気の写真」、もう一つは「雪にまみれた車の写真」。朝それを見ると気持ちがスカッと洗われるような感じがしてお気に入りです!

──活動10年を振り返り、ターニングポイントとなった出来事や時期を教えてください。
何かをきっかけにパキッと変わったというよりかは、年々じんわり考え方が変化していってるのかなと思っています。今までは自分の苦手なものをできるだけやりたくなかったり、自分の好きじゃない部分をできるだけ外に見せたくないなと思っていたんです。でも、少しずつそういう自分に「まあいっか」って思えるようになってきて、最近は「不得意そうだけど挑戦してみよう」という気持ちが増えました。完全に思えてるわけではなくて、まだまだ“たま~に”なんですけど(笑)
出会う人のおかげでじんわりじんわり、変わっているのかなと思います。私は、アイドルのときも今のお芝居の現場も、やっぱり誰かと何かを一緒に作るっていうお仕事をしていて…その時々で出会うチームのような皆さんは、ずっと心に残ってますね。(欅坂46で)当時一緒に活動していたメンバーとは「今どうしてるかな」とたまに会って近況報告をして、「みんなも頑張ってるから自分も頑張ろう」と思えます。
俳優として作品で出会った共演者の方とも、「もう一回会えるように頑張ろう」って思えますし、再び共演できた時は違う作品だからこそ、また違う関係性で一緒にお芝居をできるのが本当に楽しくて。その時々で出会った人が大切で、そのおかげで“今自分がこの仕事をやれてるのかな”って思うんです。
──最近再会した人はいますか?
桐谷健太さんと板谷由夏さんとは、結構間が空いてまた共演することがありました。お二人とも変わらずに接してくださるので、私もその時のままの姿に戻れる感覚があってうれしかったです。
──“活動11年目の長濱ねる”とは…
この10年間、「自分ってこういう人間なのかな」「きっとこう思われてるのかな」っていう像にしばられてしまっていた気がして。そこをはみ出すのが怖かったり、自分で勝手に作ったイメージをなぞってしまうことが多かったんです。でも今年活動11年目、ここから30代に向けてどんどん自分自身を裏切っていくような、自分を更新したいなと思っています。お芝居面でも「こんな長濱ねる見たことないな」と思ってもらえるような役を、一つずつしっかりと演じていきたいです。

──プライベートで挑戦したいことはありますか?
ブラジルに行ってみたいです。旅行が好きで、ヨーロッパやアジアは一人でも行けるんですが、ブラジルやエジプトは…本当に未知だなと思って(笑)交通面とかどうなってるんだろう、実際の街はどうなってるんだろうとか、知らないことだらけなので、いつか行ってみたいです!
──今まで行った国で、一番自分に合っているなと感じた国は?
デンマーク、コペンハーゲンが好きでした。街が穏やかで、美術館もきれいで楽しかったです。自転車をレンタサイクルして回っていたんですけど、とっても居心地がよかったです。
──最後に、本作を鑑賞される皆さんへメッセージをお願いします。
今回初めての舞台となる一人での朗読劇。そんな機会に足を運んでくださる方には本当に感謝しています。私も等身大で無理なく自然体での表現を心がけたいなと思っているので、来てくださる方にもそれぞれ思い思いの楽しみ方をしていただけるとうれしいです。よろしくお願いします。
【作品概要】
海⽼名⾹葉⼦追善公演 「東京の空」
原案:海⽼名⾹葉⼦
出演:長濱ねる
上演台本・演出:倉本朋幸 プロデューサー:⽥中あやせ、林家まる⼦
日程:2026年3月11日(水) 13:30/17:00(2ステージ)
会場:日本教育会館 ⼀ツ橋ホール
協力:⼀般社団法⼈ 時忘れじの集い
落語家・初代林家三平の妻でエッセイストとして活躍する海⽼名⾹葉⼦氏は1945年3月、東京⼤空襲で家族6⼈を亡くし戦争孤児となった。その経験から、海⽼名氏は長年にわたり平和の尊さを訴え続けてきた。
この悲劇を繰り返してはならない̶̶̶̶その強い思いから、長崎出⾝で被爆三世の⼥優・長濱ねるが、語り部として海⽼名の体験をもとに朗読をするという企画が⽴ちあがった。しかし、2025年12月24日に海⽼名氏が亡くなり、彼⼥が⽣きている間にやりたかったという希望は叶わなかった̶̶̶̶。
海⽼名氏の意思を継いで、平和への思いを伝える為、1945 年の東京⼤空襲から81年後、3月10日の翌日2026年3月11日に公演を⾏うことが決定。出演者は長濱ねる⼀⼈のみ。長濱は今回が初舞台となる。
【長濱ねる Profile】
俳優、1998年9月4日⽣まれ。長崎県出⾝。
幼少期を五島列島で過ごす。2019年に「欅坂46」を卒業。その後、俳優として活動し、2023年NHK連続テレビ⼩説「舞いあがれ!」に出演。同年 「ウソ婚」、2024年「若草物語 -恋する姉妹と恋せぬ私-」、2025年「いつか、ヒーロー」、2026年「おコメの⼥ -国税局資料調査科・雑国室-」などの話題作に出演。その他、日本テレビ「news zero」のコメンテーターを務め、J-WAVE 「NTT Group BIBLIOTHECA〜THE WEEKEND LIBRARY〜」のナビゲーターや、エッセイ執筆等、マルチに活躍。
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【原作 海⽼名⾹葉⼦ Profile】
1933年10月6日東京本所⽣まれ。エッセイスト、作家。1945年3月10日の東京⼤空襲で戦争孤児となる。
1952年初代・林家三平と結婚。1980年夫の死後、⼀門30数名を支え、講演会、作家として幅広く活躍。「うしろの正面だあれ」(金の星社)「⺟と昭和とわらべ唄」(鳳書院)など著書多数。長男は九代・林家正蔵、次男は二代・林家三平、孫に林家たま平、林家ぽん平。2025年12月24日逝去(享年92歳)


