【井桁弘恵&豊田裕大 独自インタビュー】「叫ぶか泣くか暴力かキスシーンかみたいな…」ドラマ『そこから先は地獄』撮影現場を乗り切るための癒やしアイテムとは?
現在日本テレビ系で放送中の火曜プラチナイト ドラマDEEP『そこから先は地獄』に出演する井桁弘恵と豊田裕大にentaxが独自インタビューを行った。三角ドロ沼不倫を題材にしたドラマを演じる上での率直な気持ちから、お互いの印象、狭い空間で待っているという撮影現場裏話まで話を聞いた。
【『そこから先は地獄』あらすじ】
「私が不倫なんてするはずがない」そう思っていた純粋で真面目な主人公・莉沙(井桁弘恵)が、妻からの暴力に苦しむ美しい男・涼(豊田裕大)と出会う。「彼を救いたい」という気持ちが、いつしか愛情へと変わり、彼女は不倫関係へと堕ちていく。モラハラ・不妊・妻からのDVといった現代的な家庭問題を題材にした愛憎劇。

――最初に脚本を読んだ時の率直な感想を教えてください。
井桁:ちょっとぶっ飛びすぎはしてないか…と思いました(笑)“不倫”っていうのは自分の現実とはかけ離れているんですけど、読んでいて辛いような描写もあって、「これは大変だ!」と。でも、夫婦の会話が妙に生々しかったりするので、そこがこの作品の魅力だなと思います。
豊田:人間社会の嫌なところを詰めたような脚本だなって読んだ時に思いました(笑)大きい嫌なことも、小さい嫌なことも全部入っていて。莉沙っていうある意味ものすごく強くピュアな人間が地獄に落ちていく様が、悲しくもあり、少し美しさもあるような、そんな脚本だったと思います。
――お2人とも珍しいハードな作品だと思いますが、プライベートに役の暗い気持ちを引きずることはありますか?
井桁:家に帰ってまで引きずることはないですけど、撮影中は眉間にシワが寄っていたり、目線が下がったり、猫背になったりする時間が物理的に長くなるので、そういう点で暗くなりそうだなって俯瞰(ふかん)で見てる自分は思いました。だから、多少スケジュールが大変でも空いている時間に友達に会うとか、体を動かすとか、切り替えていかないと!って思いました。基本的に、叫ぶか泣くか暴力かキスシーンかみたいな…(笑)毎日何かしらのしんどい撮影が入っている感じでしたね。

豊田:作品中は(役のことを)考えるので、気持ちが重たいことはあるかもしれないです。涼について「何したいんだろうこの人」みたいな…そういったことは模索していました。莉沙は色んなところに振り回されていくから大変だろうなとは思うんですけど、涼は自分自身のわがままな気持ちで動いているから、そこは莉沙とは負担の重さは違ったかなと思います。

――演じている役柄の好きな部分を教えてください。
井桁:莉沙は素直でまっすぐ受け取ってしまうからこそ、全ての言葉、全ての言動に振り回されちゃう。でも、それだけ人のことを信じているんだろうし、素直だからこそ脆(もろ)くて危うい部分ではあるんですけど、人間味があって、出会う人に恵まれてほしいなって思います。良い面、悪い面、両面あるけど、良いところだなと思います。
――井桁さんは姿勢から役作りするというお話をお伺いしたのですが、今回、姿勢は意識されましたか?
井桁:そうですね。気付いたら手が守りの体制に入ったり、感情があふれるんだけど出し方が分からないから、グッと自分の中で巻き肩にして溜(た)めちゃうっていうのは意識してました。やっぱりポジティブな役をする時は胸を張って、骨盤立てることが多いんですけど、基本的に今回の作品は、序盤から見ていただくと、だんだん巻き肩になっていってると思います。

――豊田さんは涼の好きな部分はありますか?
豊田:涼が育ってきてしまった環境が、複雑でかわいそうだったんだっていうところで、同情はしましたね。すごいなって感じたのは、なんであんなに魔性というか…人を取り込む力が強いんだろうと思います。
あと僕も姿勢からというか、今回ジムのトレーナーの役で脱ぐシーンがあったので、パーソナルジムに通って、作品の期間でめちゃくちゃ鍛えました。この前撮影があったんですけど、ギリギリ見られる体になったかなと思います…(笑)

――役者として今作で新たに挑戦していること、向き合っている課題はありますか?
井桁:負の感情にも、色んな種類があるんだなと思いました。怒りにも色んな表現方法があって、大きな声をぶつけるだけじゃなく、悔しい、悲しい、もどかしい……いかにして感情の幅を広げるかは、この作品で学びになりました。
豊田:涼は自分がやってきた役の中でも難しいなと思っています。涼自身が何をしたいのか、何を求めているのかを分かっていない状態で生きてたし、育ってきた環境が特殊だからこそ、悩みながら演じています。自分自身、それをつかむように現場に行ってお芝居をするのが初めてだったので、予定調和じゃないお芝居の仕方や、その場で出る感情が手探りなのが、自分の中で新しい感覚だったなと思います。
――本作のイチオシキャラクターを教えてください。
井桁:後半にかけての(奈月セナさん演じる)奏子です。奏子って女性の敵みたいな感じじゃないですか?でもそんな彼女の、今置かれている境遇を見ていくと、共感せざるを得ないというか…すごく切ないんですよね。「だからあんなに強がっていたんだ」ってつながっていくし、強くならざるを得なかっただろうなっていうのが、後半にかけてより魅力的に見えてきます。私はあんな妖艶にできないけど、やってみたいなぁって(笑)
豊田:(莉沙の夫)高久さん。高久を演じる落合(モトキ)さんがすごく素敵で、表情や間が、本当に高久に見えるというか…。高久の「なんでそんなことするんだよ」っていうところに、少し愛らしさだったり、笑えてくる部分を感じます。落合さんが演じているからこそ、それが色濃く見えていると思います!

――撮影現場の裏話を教えてください。
井桁:お家のシーンは待機する場所が全然なくて、洗面所に小さい丸椅子が2つ並んでいて、そこにずっと座ってるんですけど、そこでお菓子の物々交換をしてます(笑)好きなグミを食べてたりするから、それを共有しています。
豊田: 前に僕が買ってきたのど飴(あめ)を「ちょうだい」って言われた時に、僕が食べきっちゃってて、すごいにらまれて…(笑)
井桁:その前に、私がグミを「これラスト1個だけどあげるよ」って言ってあげたんです。その後に、「ごめん、自分ののど飴、もう食べきっちゃった」とか言われて、「さっき私ラスト1個あげたんだけど!」っていう小競り合いがありました(笑)
豊田:あと、めっちゃ気持ちいいマットがあって、2人でそれをずっと触ってます!(笑)
井桁:ジムにあるマットを2人で触ったり、しょうもないことしかしてない(笑)限られた範囲の中で最大限に楽しみを見つけてます。今の一番の癒やしがマットなので、マット触って癒やされて、お菓子を食べてます。

――お2人が「これだけは誰にも負けない」と思える愛が強いものはありますか?
井桁:焼き鳥がめっちゃ好きです。“せせり”が好きで、お店とか詳しいわけじゃないですけど、誰にも好きという気持ちは負けない自信があります!
豊田:初めて知りました!僕はお寿司が好きで、寿司への愛なら負けないかなって思います。赤身が好きで、絶対食べますね。
――物語後半の見どころとともに、視聴者の方へメッセージをお願いします。
井桁:本当に『ここから先は地獄』です!タイトルは『そこから』ですけど、もう『ここから先は地獄』なので(笑)徐々に莉沙が堕ちていく様も、ドラマとして楽しんで見てもらえたらと思います。それぞれの今まで隠していた思いや人間性が出てきて、それを知った上でどういう選択をするのかはすごくリアルだと思うので、どのキャラクターにも注目していただきたいです。日常ではない刺激だと思って楽しんでもらいたいです。

井桁:なるべくリアルにこの世の中の辛い人が減ってほしいなって、この作品を通じて思いました。大人になると人格が顔に出るって言うじゃないですか?この作品でめっちゃにらんだりしたから、目つき悪くなったかも、口角落ちてきてるかもって感じて、これがそういうことなんだと思って、怖くなったんですよ!だから、改めて日々の生活の楽しさとか充実が、その人の人柄を作っていくんだなって今回この役をして感じました。なので、できるだけ皆さんの日常がハッピーであることを願いたいなって思います。すごい広がりすぎちゃったけど…(笑)とにかく最後は見逃せないので、ぜひ楽しんでもらいたいです!
豊田:1話からどんどん展開していったものが最終的に集まって、最後は全部分かるので、今までの涼の行動だったり、莉沙や他のキャラクターたちがどうなっていくのかを見てほしいです。教訓とかではないんですけど…これを見て「自分は嫌だな、こうなりたくないな」って感じてくれたらいいなと思います。特に涼はどんどん悲しくなっていくので、そこもぜひ見ていただけるとうれしいです。

日本テレビ系全国ネット 火曜プラチナイト
ドラマDEEP『そこから先は地獄』
毎週火曜 24時24分~24時54分放送
TVer・Hulu 毎話放送後配信開始
【井桁弘恵(いげた・ひろえ)Profile】
1997年福岡県生まれ。『ベストスマイル・オブ・ザ・イヤー2022』受賞。TBS ドラマストリーム『私がヒモを飼うなんて』(23)、TXドラマNEXT『私の町の千葉くんは。』(24)などに出演。映画『教場 Reunion/Requiem』(25)の公開を控えている。日本テレビ系『おしゃれクリップ』MCなど多岐にわたるジャンルで活躍中。
【豊田裕大(とよだ・ゆうだい)Profile】
1999年神奈川県生まれ。CX『コスメティック・プレイラバー』(24)、Netflixシリーズ『恋愛バトルロワイヤル』(24)、TBS日曜劇場『御上先生』(25)、TBS『DOPE 麻薬取締部特捜課』(25)などに出演。映画『ロマンティック・キラー』(25)の公開を控えている。男性向けファッション誌『MEN’S NON-NO』専属モデルも務めている。











